ずっと何かが足りない

 


私は常に何か欲しいものがあって、「それさえ手に入れれば満たされる」と思っている。完璧になれると思っている。

欲しいものっていうのは大したものじゃなくて、みりんだとか、食器棚の仕切りだとか、近所の雑貨屋で見つけたおしゃれなハサミだとか、ファストファッションの服だとか。
高くても数千円で手に入れられるもの。

それらを手にした時、一瞬私は満たされる。
「よし、これで完璧だ」と思う。
何が完璧なのかわからないけど、ジグソーパズルのピースがはまったような感覚。



ただ、それは長くは続かない。
また何かが欲しくなって、足りない自分になる。
今のままじゃ完璧じゃない、不十分だ。とにかく今の私は"足りていない"んだと。

わりと倹約家だし、何でもすぐに買う方ではない。
数百円の買い物も生活必需品でなければ躊躇う。
だからこそ、ずっと足りない自分になってしまう。
買えばいいんだけど、買ってもどうせいつか足りない感覚が戻ってきてしまうことをどこかでわかっている。




ものだけではない。自分自身もそうだ。

「これができるようになれば完璧、だから今は足りてなくて不完全な人間なんだ」と無意識のうちに思っている。
だからといって、そのスキルを手に入れる努力をしているわけでもないから、もちろん満たされない。ものみたいに数日働けば手に入れられるものじゃないから。


本当は、このままで認めてあげたい。
ものだっていらないよ。私もこのままでいい。と、心から思いたい。

それがどうしても難しいんだなあ